いざとなるとパフォーマンスが発揮できないのは
スキルの問題ではない、という更新をしたのですが、
今日は「いや、スキルの問題だろう」という視点からの更新。
兵士の訓練を受けたことはないけれど、
だいたい想像がつく。
「同じこの繰り返し、徹底的に!」
これに尽きるのだろう。
というのは、兵士の任務は死の危険と隣合わせ。
そんなときは思考力が真っ先に吹っ飛ぶ。
真っ白になり、複雑かつ高度なことは考えられない。
そうなった時に活きるのは、
「考えなくても、本能のように出来ること」
そのためには、そのスキルが血肉になるほど
繰り返し繰り返し繰り返す。
昔の武術家の伝聞を、中国人の老師に聞いたことがある。
今の人みたいに、たくさんの技を使う人はいなかったそうだ。
◯◯さんは朝陽手、◯◯さんは双纏手、、、などと
1つの技に特化して、深めて深めて深めて深めて、
徹底的に1つの技を練り上げたそうだ。
その技を構成する「原理」を体にしみこませる。
銃器がある今の世界で、素手の武術はリアルな武器ではない。
しかし、昔はその武術がリアルな武器だったし、
イベント的なルールのある試合が実戦ではなく、
殺し合いがその実践の場だった。
その技に命がかかり、下手をすれば殺されてしまう、、という
シチュエーションでの戦いの中のものだった。
そうなると、恐怖心で意識が吹っ飛んだ体で、
機械的に命を救い、相手を打ち倒すのは、
本能になるまでに練り上げた1つの技だった。
思うにそれは昆虫の戦いに似ている。
カマキリは多彩な攻撃フォームを持たず、
必殺のカマでの攻撃で生存する。
スズメバチの武器は毒針。
バッタは強力な脚力で逃げる。
本能的に、もっとも有効な攻撃や逃走行動を
昆虫はとる。考えないから、神速だ。
実際にできないのはスキルの問題でもある。
実戦で使えないのは、恐怖で吹っ飛んだ状態でも
使えるほど深めていないからだ。
普段の実践もないのに、実戦で使おうとすると
スキルの問題になる。
充分スキルがあるのに、実戦で使えないのは
心の問題になる。
ということかもしれない。